ペーパーレスは単なる手段!目指すものは業務改革です
企業活動を行うと必ず発生するのが、納品書や請求書などの書類です。
あなたの企業では、それらの書類をどのように保管しているでしょうか。
紙で保管する、または電子化して保管する。
そのどちらかですが、最近はテレワークの推進もあり、なるべく電子化しようという動き(=ペーパーレス化)が活発です。
では、「ペーパーレス化」でどのようなメリットが期待できるのでしょうか。
当記事で、メリットおよび本来の目的について記載します。
文:WAWAワーク編集部 原川
「ペーパーレス化」の目的
ペーパーレス化の目的は何でしょうか。
紙ではなく電子化することで……
結論から先に書きますと、文書の電子化「=ペーパーレス化」はただ紙の書類や文書を電子化すれば終わりということではありません。
ペーパーレスは単なる手段であって、その先に目指すものは業務改革です。
「ペーパーレス化」による5つのメリット
「ペーパーレス化」することにより、大きく5つのメリットが得られます。
1.環境にやさしい
総務省が行っている調査で「環境にやさしい企業行動調査」があります。
平成29年3月に出された調査結果報告(平成27年):PDFを見ますと、企業活動において環境に配慮した取組は、「重要なビジネス戦略の一つ」と「社会的責任」と答えた企業が、合わせると81.8%です。
つまり、環境に配慮した取り組みは企業運営に重要な問題として認識され、位置づけられています。
紙の消費は森林の伐採につながります。「ペーパーレス化」を推進することは、企業が環境に配慮しているという姿勢を示すものにつながります。
2.コストの削減
「ペーパーレス化」することで効果がはっきり見えるのが、コストの削減です。
紙の書類をやめて書類を電子化するだけで、印刷する紙が減り印刷コストや紙代が削減できます。紙の書類を郵送している場合は、郵送費用の削減にもつながります。
また紙の書類は保管場所も必要なので、保管するスペースや場所代が削減されます。
紙書類の保管倉庫を使用している企業であれば、保管場所の削減はそのまま費用の削減となります。
3.業務の効率化
紙の書類では、バインダに閉じる作業がまず発生します。
年度ごとに区切られたバインダ。新年度になれば新しいバインダを作って、見出しを作って……と作業が発生します。
また書類を探したいと思ったら、「倉庫にある段ボールの中」や「キャビネットにあるバインダーの中」を、見出しを参考に探していく、そういう作業になりますよね。
つまり、バインダの中から探す作業が発生します。
電子化されていればどうでしょうか。
ます物理的なバインダを作る、という作業はありません。
また電子データは検索が簡単という利点があります。必要な時に必要な書類をすぐに検索・活用できますので、業務のスピードアップにつながります。
4.テレワークの推進
紙であれば、その場に行かないと閲覧できません。
つまり、会社の倉庫やキャビネットに入っている限り、会社に出社する必要があります。
働き方改革の推進で、テレワークを考えている企業も多いと思いますが、出社しなければ業務が回らないのであれば、推進しづらい状況となります。
電子化されていれば、情報共有が簡単にできます。
また、稟議書や申請書といった押印して回覧されるような書類まで、ワークフローを使えば、社外から作成・承認できるようになります。
ペーパーレスは、多様な働き方を支える基盤作りになると言えるでしょう。
これが先に述べた業務改革につながるメリットです。
5.リスクの軽減
企業にとって、情報漏洩は大きなリスクです。
顧客情報や機密情報が印刷された「紙の書類」が紛失したら、大きな問題となりますよね。
また、なくなっていることさえ気が付かずに長い時間が過ぎている、ということもあるかもしれません。
ペーパーレス化しただけでは、紛失や情報漏洩のリスクを回避できるわけではありません。
ただ、電子化された書類は、暗号化や証跡を追うなど適切なセキュリティ対策を行うことで、紙の書類より安全性を高めることができます。
リスク軽減も、業務改革につながるメリットです。
「ペーパーレス化」で業務改革
今まで「ペーパーレス化」には大きく下記の5つのメリットがあると書きました。
・環境にやさしい
・コストの削減
・業務の効率化
・テレワークの推進
・リスクの軽減
そのうち「環境にやさしい」と「コストの削減」は効果としてイメージしやすく「ペーパーレス化」と同時に得られるメリットです。
しかし、これだけでは「ペーパーレス化」の導入に負担を感じる社員は多いでしょう。
せっかく書類を電子化して「ペーパーレス化」しても、紙の方が読みやすいからと社員それぞれが印刷して持つようでは意味がありません。
「ペーパーレス化」で目指すところは業務改革です。
業務時間の短縮につながる「業務の効率化」と場所や時間にとらわれない「ワークスタイルを実現」することで、社員ひとりひとりのメリットにもなります。
会社だけのメリットではなく、社員ひとりひとりがメリットと感じることで「ペーパーレス化」の導入もスムーズになります。
さいごに
「ペーパーレス化」で業務改革を目指すには業務の見直しと直結した作業となるため、なかなか進まない会社が多いのも事実です。
「今まで通りのやり方でも困ることなく業務はできる」と考えるのが、多くの社員の本音かもしれません。
しかし、コストを削減し、業務を効率化して企業としての競争力を強化したいと考えているのであれば「ペーパーレス化」は間違いなく強力な手段です。
いきなりすべてではなく、できるところから取り組んでみてはいかがでしょうか。
出退勤を記録するタイムカード。会議資料、申請書類、業務に関する書類など、できそうなところから長期的に取り組んでみていければいいかと思います。