OODAループとは?そのプロセスとPDCAサイクルとの違いのご説明
みなさんはOODAループという言葉を聞いたことはありますか?
まだ少し聞きなれない、馴染みのない言葉かもしれませんが「PDCAがまわらない」と悩むビジネスパーソンは耳にしたことがあるかもしれません。
この記事では、PDCAサイクルとの比較とともにOODAループについてご紹介いたします。
記事:原川
OODAループとは
OODAループとは、アメリカの空軍大佐ジョンボイドが提唱した理論で、戦闘機パイロットの意思決定過程の一般化を試みたものです。
元々は軍事行動における指揮官の意思決定を対象としていましたが、後にはあらゆる分野に適用できる戦略一般理論と評され、ビジネスの世界にも広がりました。
今ではシリコンバレーをはじめとする欧米のビジネス界でも基本戦略として採用され、アメリカのビジネススクールでも教えられてます。
OODAループとは、ウーダループと読み、次の5つのプロセスからなります。
・観察(Observe)
・情勢への適応(Orient)
・意思決定(Decide)
・行動(Act)
・ループ(Feedforward / Feedback loop)
それぞれの単語から頭文字をとり、loopはそのままに「OODAループ」と呼ばれています。
観察(Observe)
「3C分析」を使って市場・競合・自社を分析するなど、自分以外の外部状況に関する「生のデータ」の収集をして周囲の状況を観察します。
観察と書くと見るだけと受け止められがちですが、このプロセスは、ひとことで言うなら情報収集です。
自社や競合、市場といったものがどのような状況にあるか、という「データを集める」ことが、【観察(Observe)】です。
状況判断(Orient)
【観察(Observe)】で収集した「生のデータ」をもとに、文化や経験、その他資産や新しい情報などを加え、今何が起きているのか理解します。
またその理解した結果をもとに状況判断を行い、自分がとる戦略の方向性を定めます。
データやそれ以外の判断材料をもとに方向性を定める部分であり、OODAループの中で最も重要視されている部分です。
意思決定(Decide)
【状況判断(Orient)】で方向性を定めた戦略に対して、どのような計画を実行していくのかを、実行レベルまで落とし込み決定していきます。
進めようとしていたサービスやプロジェクトそのものを中止するということも意思決定です。状況によってはここから【観察(Observe)】の段階に戻ることもあります。
PDCAループとは違い、OODまで行って最初の【観察(Observe)】に戻るということもあります。
行動(Act)
【意思決定(Decide)】で決めた行動を実行します。
ループ(Feedforward / Feedback Loop)
OODAループにおいては、【行動(Act)】で終了とならず、再び【観察(Observe)】段階に戻ります。
【意思決定(Decide)】に基づいて行動した結果、発生した変化を【観察(Observe)】し、次の【状況判断(Orient)】へと続けていきます。
また行動の段階での結果にもとづいて行動方針や戦略を見なおし、効果がないものを止めて「有効な行動方針や戦略」を実行していきます。
PDCAサイクルとは
PDCAサイクルについても少し触れておきます。
PDCAサイクルとは、継続的改善手法です。
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善します。
・Plan(計画)
従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成します
・Do(実行)
計画に沿って業務を行います
・Check(評価)
業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価します
・Act(改善)
実施が計画に沿っていない部分を調べて改善します
OODAループとPDCAサイクルとの違い
OODAループは、状況に応じて意思決定を行うための手法で、PDCAサイクルのように決まった業務のフロー改善ではありません。
OODAループは、明確な工程のない物事に対して意思決定を行うために使われます。
柔軟な判断や迅速な実行が最優先され、「相手の観察」から始まります。
現場が起点となっているので、柔軟な対応が可能です。
そしてこのOODAループを高速で回しながら、都度調整を加えていくことで、素早く適切な決断を下す能力が高まり、変化に対して臨機応変な対応が可能になります。
現場の問題解決能力が向上するということがメリットです。
対してPDCAサイクルは、生産技術における品質管理や品質管理の手法であり、決められた工程で、どうすれば低いコストで高い効果を発揮できるかということを突き詰めるためのものです。
「自分の計画」から始まります。
計画から始まるので準備が必要ですし、進行中の管理・監視が最重要視されるため、プロセスが重要です。
現場での臨機応変さに欠けるというデメリットがあります。
さいごに
「PDCAサイクルが回らないことに悩んでOODAループに着目してみました」ということを聞くことがあります。
想定外のことが起こる現場ではその場で問題を発見・対処していく必要があります。
適材適所、そのような現場では変化に弱いPDCAサイクルに代わるものとして、もしくは補強する手法として、現場の判断を尊重し行動する必要があるOODAループを検討してみるのもよいかもしれません。