働き方改革を推進する労働、業務、意識改革
働き方改革は、時には「創業者からの伝統」など今までに企業内で育てた文化をも捨て去ることが必要です。
改善ではなく、改革が求められていますが、今回は働き方改革で強い企業を作るための「3つの改革」の考えを紹介します。
~WAWAワーク編集部:ITコーディネータ濱田~
働き方改革は経営改革
企業における働き方改革は、少子高齢化時代に強い会社にするための「経営改革」です。今後、日本の労働者人口が少なくなっていくなか、企業が取りうる策は、「労働の量から質」へ変換することです。
労働生産性に着目
労働の量については、わかりやすく言うと、工場を思い浮かべてください。
1時間で1の成果が出る機械を、余分に1時間動かせば、余分に1の成果が出ます。つまり、労働時間(=労働量)を増やすことで成果を出す考えが従来の日本型企業でした。
ただ、労働者人口が減ると、「労働量を増やす」ことは難しくなります。
ではどうするか。1時間で1の成果が出る機械を、1時間で1.2の成果が出るようにすれば、5時間で6時間分の成果が出るようになります。
つまり、「労働の質」を上げるということです。
上記のように工場の例ではわかりやすいのですが、問題が複雑なのは1時間当たりの成果が定義しづらいデスクワーク主体の人、いわゆるホワイトカラーです。
営業マンや事務員に、労働の量、質、と言われてもピンと来ないものですが、この部分も下記の3つの改革の中でしっかり定義して変えていく必要があります。
3つの改革
働き方改革は「改革」です。働き方「改善」ではありません。
改善は、現状の仕組みを変えること、改革は、現状の仕組みすら否定して再構築すること、です。
求められているのは、改革です。今までの仕事ぶりや常識そのものを否定する活動が求められています。それでは、その改革を3つに分けて紹介します。
1.業務改革
労働生産性を向上させる業務改革。
つまり、簡単に言えば「手間が無くお金が儲かる」仕組みを作ることです。
成果に結びつかない無駄な業務を無くし、今やっている業務減らすこと。そして、お金が儲かる付加価値が付けられるようなイノベーションを起こすことです。
抽象的ではありますが、そのためにも、今やっている業務を見直す必要があります。
その業務は必要なのか。必要であれば、人手を減らすことができるのか。など、業務に関しての「改革」を行います。
この改革の中で重要なのは、慣例化している業務を含めての見直しや、ITをうまく業務フローの中に組み込んで活用し、業務効率や生産性を上げることです。
2.労働改革
少子高齢化社会において、人手を確保していく必要があります。
従来の日本型企業では、みんな朝から夕まで会社に集まって仕事をすることが、仕事の効率面でも良く、そういう人財が求められていました。
そのため、育児や介護、自身の病気などの要因で「会社に出社することができない人、定時までいることができない人」に対しては、働き手と見づらかった部分があります。
ただし今後は、そういう方々に100%の労働力ではなくても、50%でも30%でもいいから求めていくことが企業にとっては必要なことになります。
そういう多様な人財に活躍していただくために、「テレワーク」「フレックス」「時短社員」「限定社員」などの労働制度や労働環境を整える必要があります。
また、労働生産性の観点で言えば、従業員のモチベーションを高める必要があります。
モチベーションが高い人は生産性も高く、そのようなモチベーションを向上・維持するには、正当な評価をすることが重要です。
正社員ではないから、不当な評価を受ける。そのような事のないよう、正規社員、非正規社員問わず、正当な評価を行う評価制度も生産性向上には重要です。
3.意識改革
ここが一番重要で、一番大変な改革です。
経営者や今の幹部にとっては難しい問題ですが、今、社内にある「常識」を今の時代に合うか合わないかを見極める必要があります。
経営者や幹部は、業務量に頼ってた時代にがむしゃらに働いて、今の地位になっているかもしれません。
それをそのまま文化や社風とするのでは、業務の質までには話しが行きません。
例えば、基本的に、汗水流して頑張っている人を応援したくなるのが日本人です。
朝から晩まで忙しくして残業して成果が100の人と、残業は決してしないが成果を100出している人。
たとえ評価制度は後者が有利だったとしても、気持ち的には前者を応援したくなります。
他には、「休暇を取って海外旅行に行った」「家庭事情でよく休む」「残業をしないで帰る」「在宅で仕事している」。
このような人が同僚や部下にいたら、どうでしょうか、気になりますか。
今までは、滅私奉公が望まれていましたが、多様な人財を活用するのであれば、そのようなことはできません。
さいごに
今日は3つの改革を書きました。
企業にとっては重要なポイントが異なるため抽象的な話しになってしまいましたが、重要なのは、業務を見直し、労働制度を見直し、そして多様な人財を活用できるよう意識を見直す、ということです。
そして見直す際には、「今までのことは非常識かもしれない」と感じることです。
働き方改革は、改善ではなく改革するものです。簡単に手が付けられない問題でもあります。じっくりと自社が今まで培ってきた常識と向き合ってみてください。